O Gaia: One World
31st, 2006
ポップ・スターというものは、ある程度以上のリスクが発生する領域には決して足を踏み入れない。壇上に祭り上げられて、有名人であることのつらさを嘆いたり、個人的な怒りをぶちまけたり、もっとひどい場合は、政治的な主張をしたりするぐらいがせいぜいなのだ。やれやれ、フォークシンガーの本領って何だっけ?
さて、オーストラリアのシンガーで、70年代~80年代初頭のもっとも輝かしいポップ・アイコンでありセックス・シンボルのひとりだったオリビア・ニュートン・ジョンによる1994年のアルバムが本作だ。母国ではトップ10入りのヒットとなったが、アメリカのニュートン・ジョン・ファンにとっては長い間「幻の」アルバムとなっていた。今回がアメリカ初登場となる。
父親の死と乳ガン宣告をほとんど同時期に経験するという残酷な運命に立ち向かい、そこからインスピレーションを得たニュートン・ジョンが、みずから曲を書いてプロデュースもした本作は、ロマンスから環境問題(ガイアというアルバム・タイトルは大地の女神を意味している)まで、さまざまな話題を扱っており、彼女が「初めて」本当の気持ちを表現したというもの。「I Honestly Love You」を愛するファンにはショックな内容かもしれない。皮肉な見方をすれば、声量のとぼしい、壊れそうなニュートン・ジョンのヴォーカルが、決意にあふれ、時として力みも見られる自伝的内容を確信犯的に包みこんだ仕上がりということになるだろう。
かつてニュートン・ジョンが歌っていたイージー・リスニング調カントリー(「No Other Love」、「Why Me」、「I Never Knew Love」)を思い起こさせるようなメロディーが続出する『Gaia』だが、空想的な「Pegasus」に始まり、南アフリカ風フレーバーの「Not Gonna Give In to It」、北部インド的な要素が隠し味となっている「The Way of Love」、さらにジャングルの雰囲気をかもし出す「Ruin」とタイトル・トラックなど、さまざまなエキゾチックな味つけがほどよく効いている。
ファンも気まぐれなリスナーも、本作が単にかつてのスタイルに回帰しただけの、ひたすら安心感を売り物にしたアルバムではないことに気づくだろう。そう、これは大胆で意外性に満ちた意欲作で、彼女がこれまでに残してきたポップに新たな形を与えるための試みなのだ。(Jerry McCulley, Amazon.com)
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